妊婦さんから採血した血液中の4つの成分を測定して、赤ちゃんがダウン症候群、18トリソミー、開放性神経管奇形である確率を算出するスクリーニング検査です。
クアトロテスト®を受ける前には、必ず、医師にご相談ください。
検査の目的
クアトロテスト®は、胎児がダウン症候群、18トリソミー、開放性神経管奇形に罹患している確率を算出するスクリーニング検査です。より正確な情報を得るための、羊水穿刺による検査や、画像診断の必要性を考慮する材料になります。クアトロテスト®は、妊婦さん一人ひとりの確率を算出します。さらに、基準となる確率より高い場合はScreen Positive(スクリーニング陽性)、低い場合はScreen Negative(スクリーニング陰性)と報告されます。
- 対象となる赤ちゃんの疾患
- ダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、開放性神経管奇形です。
* 双胎妊娠の場合、18トリソミーの結果はでません。双胎妊娠での制限についてはQ&AのQ8をご覧ください。
ダウン症候群とは
ダウン症候群は、主に21番目の染色体が3本あることにより生じます。知的発達や運動能力の発達に遅れが見られます。病気にかかりやすく、心臓や内臓の病気を合併する可能性が高くなることが知られています。これらの合併症は治療が可能です。出生後、合併症を早期に見つけ、適切な治療を行うことが重要です。早期からの療育や、特別に配慮された教育により、成人して社会生活を営むことも可能になりつつあります。
18 トリソミーとは
18トリソミーは、18番目の染色体が3本あることにより生じます。多くの場合に主に心臓の形に変化が見られ、
赤ちゃんがお腹にいる時期から目立った発達の遅れがあります。知的発達の障害は重度とされます。最近では、積極的な治療などでゆっくり発育し、5~10歳ごろまで生存される方もいます。開放性神経管奇形(神経管閉鎖障害)とは
妊娠初期に形成される赤ちゃんの神経管が正常に形成されないために、赤ちゃんの脳や脊髄に障害が起きている状態です。二分脊椎(脊椎が正常に形成されない場合)や無脳症(頭蓋骨が正常に形成されないために、脳が発達しない場合)があげられます。
検査の方法
妊婦さんから血液を採取し、血液中の4つの成分(AFP、hCG、uE3、Inhibin A)を測定します。これらは妊娠中に胎児または胎盤で作られる成分です。これらの成分の値は妊娠が進むにつれて増減し、その増減の仕方は、胎児が対象疾患に罹患しているかどうかに関連しています。
クアトロテストは、下図のような妊婦さんの情報と妊婦さんの血液の成分値を用いて、胎児がそれぞれの疾患であるかどうかについて確率を算出します。妊婦さんの年齢が高くなるほど、ダウン症候群や18トリソミーの赤ちゃんが生まれる頻度が高くなります。クアトロテスト®は、母体年齢に固有の確率をもとに妊婦さん一人ひとりの確率を計算しているため、年齢の高い妊婦さんほどクアトロテスト®の検査結果の確率が高くなる傾向があります。
検査を受ける時期について
クアトロテスト®は妊娠15週0日から21週6日まで検査可能ですが、羊水検査には約2週間を要することを踏まえてクアトロテスト®を受ける時期をご検討ください。妊娠20~21週頃までに羊水検査の結果を得るためには、妊娠15週~17週頃にクアトロテストを受けておくことが推奨されます(以下の「クアトロテスト®後の検査」を参照)。なお、妊娠15週未満では検査できません。
所要日数
所要日数は約10日です。
クアトロテストRの精度について
クアトロテスト®はスクリーニング検査です。ダウン症候群を例にとると、弊社が1 9 9 9 年から2 0 0 4 年までに行った19,112例の調査からは、スクリーニング陽性の結果は約9%(1,763例/19,112例)で、そのうち実際にダウン症候群の赤ちゃんを妊娠していたのは約2%(39例/1,763例)でした。
また、同調査結果からは、ダウン症候群の赤ちゃんを妊娠していたのは合計45例でした。そのうち39例がスクリーニング陽性であったことから、ダウン症候群の検出率は87%(39例/45例)でした。同様に、18トリソミーの検出率は77%、開放性神経管奇形の検出率は83%でした。このように、クアトロテスト®は確定診断を目的とした検査ではありません。以下の「クアトロテスト®後の検査」もお読みになり、本検査を受けるかどうかをお考えください。
検査結果の報告の仕方
妊婦さん一人ひとりの確率が「1/500」のように報告されます*。それぞれの疾患ついて、基準となる確率(カット
オフ値)が定められています。カットオフ値と検査を受けた妊婦さんの確率を比較し、カットオフ値よりも高い場合
はScreen Positive(スクリーニング陽性)、低い場合にはScreen Negative(スクリーニング陰性)と報告します。
ただし、クアトロテスト®は確定診断ではなくスクリーニング検査ですので、次のように解釈します。確率について
確率が1/500であれば、「同じ1/500の結果を得た妊婦さんが500人いたとすると、その中の1人が対象疾患の赤ちゃんを妊娠している可能性がある」と解釈します。
Screen Positive(スクリーニング陽性)とは
「赤ちゃんが対象疾患である確率はカットオフ値より高いが、赤ちゃんが必ず対象疾患に罹患しているということではない」と解釈します。
Screen Negative(スクリーニング陰性)とは
「赤ちゃんが対象疾患である確率はカットオフ値より低いが、対象疾患に罹患した赤ちゃんが絶対に生まれないということではない」と解釈します。
検査結果の解釈の仕方
確率が1/500であれば、「同じ1/500の結果を得た妊婦さんが500人いたとすると、その中の1人が対象疾患の赤ちゃんを妊娠している可能性がある」と解釈します。
その後の羊水染色体検査を受けるかどうかについては、以下の3点を考慮しながら、担当の先生とご相談ください。
1) クアトロテスト®の結果(確率、およびスクリーニング陽性/陰性)
2) 羊水穿刺に伴う流産の確率約0.3%(300人中1人)
3) 年齢から推測されるダウン症のお子さんを妊娠される確率(Q&AのQ4をご参照ください)
クアトロテスト®後の検査
報告された確率を確認した後に、赤ちゃんが対象疾患であるかどうかについて、より正確な情報を得るための検査があります。検査を受けるかどうかを担当医や専門医にご相談ください。
ダウン症候群または18トリソミーの場合
これらの疾患であるかどうかを調べるためには、羊水染色体分析を受けることが必要です。羊水染色体分析は、羊水を採取して赤ちゃんの染色体を調べる検査です。
羊水の中には赤ちゃんの細胞が含まれており、この細胞の染色体を観察し、赤ちゃんに染色体の変化「染色体異常」があるかどうかを調べます。染色体異常には、通常46本である染色体の数が増えたり減ったりする「数」の変化と、染色体の形が変わる「構造」の変化があります。羊水染色体分析では、妊婦さんの腹部に細い針(穿刺針)を刺して羊水を採取しますので、危険がまったくないわけではありません。穿刺後に赤ちゃんが流産する可能が約0.3%(300人中1人)あると言われています。開放性神経管奇形の場合
超音波検査などの画像診断、または羊水中のAFPなどの値を調べる検査(羊水アルファフェトプロテイン検査)があります。羊水の採取方法は前記と同じです。
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